FC2ブログ
<三枝巧先輩執筆の記事です>

今年はロンドンオリンピックが開催され、4年に一度の祭典を皆さんもテレビで見たと思います。突然ですが 

ロンドンオリンピック 293
   パラリンピック 135

この数字が何を意味するか分かるでしょうか。

この数字は、今年のロンドンパラリンピックに参加する日本人選手の数です。オリンピックという華やかな大会の裏で、8月29日から9月9日にかけてロンドンパラリンピックが開催されます。パラリンピックにこれだけの数の日本選手が参加されることをご存じだったでしょうか。

さて今回のご報告では、パラリンピックに関連させて、イングランドで携わってきたたくさんの障害者スポーツのボランティアの中でも、視覚障害者フットボールについてご紹介したいと思います。(初めに、この文章の中で度々障害者という表現を用いますが、これは決して偏見や差別、劣っているということを意味しているのではなく、障害をお持ちの方という意味であることをご理解下さい。)

イングランドの国民的スポーツと言えば・・・まさに、フットボール!!ですね。
このような何ともシンプルな発想で、私は留学先のダラム大学でカレッジのフットボールクラブに所属していました。日本では今までサッカークラブにも所属したことなかったのにすっかりのめり込んでしまい、これが良い意味で様々な障害者フットボールのボランティアをイギリスで行っていくきっかけとなりました。

視覚障害者フットボール(通称、日本ではブラインドサッカー)と聞いてすぐにイメージするのは難しいかと思います。私自身も大学1年生のとき初めてそのスポーツを目にするまでは、視覚障害者がアイマスクをしてやる、音が鳴るボールを使用する程度の知識しかありませんでした。

ブラインドサッカーについて簡単に説明しますと、主に2つの種類に分類され、アイマスクと音の鳴るボールを使用する全盲の方のBIクラスと、フットサルとほぼ同じルールで行われる弱視の方のB2・B3クラスがあります。

ブラインドサッカーのボランティアではニューカッスル・ユナイテッド(Newcastle United F.C.)からのコーチと一緒にブラインドサッカーのコーチをして、全盲・弱視の小学生と楽しく汗を流したり、イングランドのB2、B3の18歳以下の代表チームの合宿に参加して練習・試合の補助をしたりしていました。

写真1
(イングランドU18 B2B3代表合宿にて)

写真2
(イングランドU18のチームと)


イングランド代表の練習では、慣れないせいか始めのうちは戸惑ってしまっていましたが、慣れてくるうちに積極的にコーチや選手に関わっていこうという気持ちで参加していけるようになりました。

後に記録として残せるように、コーチや選手にインタビューをしようと思いつきました。ブラインドサッカーを教える時にいったいどのような工夫・配慮が必要なのか、選手はどんな風にボールが見えてプレーしているのか、プレーをする時にどんな困難を感じるのかなどその場で感じたことを必死に英語でノートに書き込んでコーチや選手にインタビューしたのを覚えています。

そして、インタビューを通してある選手からこのような話を聞くことができました。
「遠くではボールがブレ6つに見えて、数メートル手前に来てやっとそれが一つになって見えるようになる。」 またほかの選手からは、「速いボールや見えにくい角度からだと数メートル前からいきなりボールが現れたりする」といったことを聞くことができました。
実際に弱視といっても人により見え方は十人十色で、この事を選手から直接聞いたときはすごく衝撃的でした。

ただ、専門的なブラインドサッカーの指導ができれば良いわけでなく、一人一人の選手が持つ「個性」を指導者が理解して、それをどうしたら個人・チームとして最大限に力を発揮させていくことができるかという大切さを知りました。これはまさに青樹会で生徒一人一人が最も輝く方向にその能力を発揮できるよう、先生方に教えていただいているように、障害者スポーツにおいても重要なことなのだなと強く実感しました。

また、コーチからは選手が困難を感じることがないようにこのような点に配慮していることを聞くことができました。
一つ目は、なるべく明るい色のついた作戦板やボールを使用していることです。(屋外などの明るい場所では、逆に暗いボールの方が見えやすいという選手もいます。)
二つ目は、練習や戦術の説明をするときに、なるべく大きなスクリーンを使用することです。これも選手の視覚を考慮して使用しています。


写真3
(練習用のカラフルなボール)

写真4
(練習・戦術説明用の大きなスクリーン)

それから、実際に視覚障害者のイングランド対アイルランド代表の試合や、イングランドU18対シニアーチームの代表の試合を間近で観戦して、鳥肌が立つほど感動をしたのを覚えています。この試合の結果はイングランド15-アイルランド0という内容でしたが(昨年の世界大会で日本代表チームはイングランド相手に0―20という結果でした。)試合後にスタンドからは大きな拍手が両チームに送られていました。

写真5
(イングランド代表チームVSアイルランド代表チーム)

そしてここで強調してお伝えしたいことは、その試合結果ではありません。その時に自分が心を動かされたのは、障害者でもがんばって必死に障害を乗り越えてプレーしているということでもなく、大差で勝利をしたこととも違っていたと思います。心を動かされたのは、彼らが純粋にブラインドサッカーを楽しみ、体を動かせる喜びを感じ、持てる力で限界に挑んでいる選手・アスリートとしての姿でした。

しかし残念ながら、パラリンピックなどの障害者スポーツの報道の一部では、アスリートとして選手が取り上げられるよりも、障害者として障害を乗り越えてがんばっていることに焦点が置かれ感動ストーリー的になってしまうのが少なくないのが現状です。

この日、電車で記した手帳に、
「花は人を感動させようと花びらを咲かせるのではなく、光のある方に真っ直ぐに茎を伸ばしその花びらを咲かせようとする。それと同じように、障害者スポーツをする人も私たちを感動させようとそれだけのためにプレーをしているのではなく、自分の持てる能力を精一杯使って全力で挑戦し、スポーツできる喜びを感じている。」とありました。
イングランド代表のトップレベルのプレーを見て感銘を受けたのはそういうことであったのかなと感じました。

(Part2へ続く・・・)
スポンサーサイト



2012.08.29 Wed l 三枝巧先輩 イギリス留学2012 l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://seijukai100.blog91.fc2.com/tb.php/88-8fe93ef8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)