FC2ブログ
自分のこれからの長い人生を思い描いてみてください。
高校の後、大学の後の人生、どのようなイメージを持っていますか?

専門学校や大学卒業と同時に、ある仕事に就き、40年間その道を進む人もいるでしょう。その道を究める、そういう生き方ですね。

そんなまっすぐな道もあるかもしれませんが、曲がりくねった、くねくねの道をたどる人生もあります。色々なところへ行ってみて、あぁこれは違うな、あれをやってみたいな、これは好きかもしれない、でもやっぱりこっちかもしれない、と探し続ける人生です。 
決して、大学や就職がゴールではないのです。

**********

今日はそんな道を進んできた、青樹会の大先輩、天川佳代子先輩(佐女高出身)をご紹介します。

佳代子先輩は現在、校正・校閲と、翻訳の仕事をしています。
まず、校正・校閲とはどんな仕事か、皆さん知っていますか?

雑誌や書籍ができるまでには、いくつもの仕事が存在します。
編集者、記者、イラストレーター、作家、グラフィックデザイナーなど・・・。
「印刷して本が完成!」の直前、文章や写真やイラストが一枚のページに印刷された状態で最終チェックを行うのが、校正・校閲の仕事です。(英語ではproofreaderと言います)

校正・校閲とは、雑誌や書籍の事実関係に誤りがないか調べ、文章に関する誤りを見つける仕事です。佳代子先輩は、スポーツ系の雑誌や、生活雑誌をみることもあれば、小説の文庫本、ジャンルを問わず書籍一般を任されることもあります。

お仕事について、佳代子先輩が教えてくださいました。
「事実関係の誤り」では、たとえば世界遺産の地名や建築物のような固有名詞が出てきたときにリサーチしてチェック、掲載されている引用元が実際に間違っていないかの確認作業も入ります。「文章に関する誤り」では、言葉遣い、変換ミスがないかどうか、またストーリーの整合性などをチェックします。たとえば、「コンピュータ」となるはずが「コンビュータ」になっている、とか、ミステリーなどで去年死んだはずの人物が今年現れ話している、というチェックなどです。雑誌になると、図や写真があるので、キャプション(写真や図の添え書き)と本文があっているかどうか精査するのも仕事です。


・・・う~ん、とても集中力を必要とする仕事ですね。

**********

佳代子先輩は小6から高3までの7年間、青樹会で学んでいました。

佐女高、短大を卒業してすぐに今の仕事に行きついたわけではありません。

東京女子大学短期大学部英語科卒業後、キリンビール株式会社に入社します。
会社ではいわゆる内勤、一般事務の仕事をしていたそうです。2年ほど仕事をし、

「本当にこの仕事をずっとしていきたいのだろうか。10年後も20年後も・・・?」

という思いが強くなり、退社を決意します。

先輩が学生時代からずっと思い続けてきた夢が、児童文学の翻訳~英語を日本語にする仕事~でした。その夢への一歩として、先生のアドバイスを受けアメリカ・サンディエゴに語学留学します。


留学をして、学んだこと、面白い発見、大きな経験などありますか?という質問に、答えてくれました。

いちばん思うのは「一匹狼」も時には大切ということでしょうか。留学先の大学の語学コースは日本人が半数をしめて、みんなで群れをなし、日本語ばかり話していて、その様子は他国の生徒たちから「Japanese circle」と揶揄されるくらいでした。わたしはその輪にはどうしても入りたくなかったから、最初は学校に行ってもひとりぼっちでいました。そうしたら英語で話しかけてくる日本人がいて、同じ志であることがわかり、そこからアジアやヨーロッパのクラスメイトと仲よくなることができました。

もうひとつは一芸に秀でることのおもしろさも感じました。一芸といっても、それはグラマーのテストの点数なので、「芸」とはいえないけど、200点満点で確か196点くらいとりました。問題自体は授業の復習さえしておけばいいようなものなのですが、語学留学はやっぱり会話重視なので(笑)、みんなグラマーなんてほとんど勉強しないものだから、良くも悪くもすごく目立って、おかげで先生から一目置かれ、その後、いろんな相談に乗ってもらえたし、クラスメイトから以前にも増して話しかけてもらえるようにもなって、その後の日々が楽しくなってとってもよかったです。



帰国後、「とにかく仕事をしなくちゃ」という思いに駆られ、大手の学習塾に入社しましたが、教育方針以前の儲け主義がどうしてもいやで、1年半青樹会で英語を教えます。その間、先生から様々なアドバイスを受け、先生の元で翻訳の勉強をしていました。

その後、佐野を離れ、働きながらも翻訳の勉強を続け、20代後半に思い立って青山学院大学に編入し、英文学を専攻、マーク・トウェインの『トム・ソーヤの冒険』に関して卒業論文を書きました。仕事をしながら、大学に通い学士号を取得しているのです。

卒業後、仕事をしながら翻訳の勉強を続け、訳書が出版されることになりました。
佳代子先輩の訳書です。
2004年 『臆病者と呼ばれても』
2007年  「まもろうせかいの動物たち」シリーズ(絵本)4巻
2008年  『幸せな王子』
2009年  「ダイヤモンドブラザーズ」シリーズ 1巻~3巻(1と2は下訳)

PA060001.jpg
先輩の訳書は教室にもあります♪


翻訳家として仕事をしつつも、翻訳の勉強のためにと考え、校閲・校正の通信教育を受け始めます。
そんなきっかけで始めた勉強が、今の仕事につながっているのです。

翻訳がやりたくて、その一心で勉強してきた中で校正・校閲の仕事にも出会い、人生何があるかわかりません!」と先輩語ります。

校正も翻訳も、いろいろな人の文章や考えに触れられるので、とても刺激があります。ただ、依頼をうけての仕事のため、断ったり、選んだりすることがなかなか難しい面もあります(そんな「権威」ある存在の校正者さんもなかにはいるようですが)。たとえば苦手な理数系の本や経済誌などには泣かされています。。。


**********

佳代子先輩、「自分が歩いてきた道を紹介することが、青樹会の後輩のためになるなら」と、埼玉からわざわざ教室まで来てくださり、様々なお話をしてくださいました。

最後に、後輩たち、中学生や高校生たちに、アドバイス・メッセージをお願いしました!

「 わたしは青樹会と出会えたことは人生の幸運と思っています。この点ではさがしてきてくれた親に本当に感謝しています。というのも「青樹会精神」(などと、たったひとことでまとめきれるものでもありませんが)は卒業後もずっとずっと心のなかにあって、今でもわたしにとっては大切なものになっているからです。「青樹会で勉強する」ということは、学習以外のことのほうがはるかに大きいのだと思います。だから、卒業生のみんなは悩んだときは青樹会を思い出して、今、青樹会に通っているみんなは、安心して青樹会で大いに勉強し、そしてとりあえずはテストもかんばってください!! 」

**********

佳代子先輩、ご協力ありがとうございました!

先輩の取材(?)をした後、佳代子先輩の訳書『臆病者と呼ばれても』を読みました。

これは、第一次世界大戦中のイギリスを舞台とした、二人のイギリス人青年の実話です。彼らは自分の信念のために、戦争で戦うことを拒み、徴兵制の召集も拒否しました。そのため、「良心的兵役拒否者」と呼ばれます。人々からは後ろ指をさされ、軍部からも体罰を受け脅かされたりもします。自分の死を覚悟しても尚、様々な圧力に屈することなく、最後まで信念を貫くその姿勢には、驚きました。

人の本当の価値がわかるのは、全てがうまくいっている時ではなく、絶望的な状況の中で

という先生の言葉を思い出しました。


臆病者と呼ばれても―良心的兵役拒否者たちの戦い臆病者と呼ばれても―良心的兵役拒否者たちの戦い
(2004/09)
マーカス セジウィック

商品詳細を見る


興味のある方は、是非、読んでみてください。
(MASAMI)
スポンサーサイト



2011.11.23 Wed l 卒業生(英語コース出身)の活躍 l コメント (4) トラックバック (0) l top